AudioPilz 本人へのインタビュー(MusicRadar)から、面白かったところを訳して並べる。全文訳ではなく、要点の抜粋と意訳。原文は末尾のリンクから。
本名は Florian Pilz。10年間、劇場の音響だった
オーストリア人。劇場で10年、音響エンジニア兼サウンドデザイナーとして働いていた。Bad Gear のあの演劇的な作りは、そこから来ている。
その後いったん音楽制作から離れて、大学に行き、事務仕事に就いた。だが満たされなかった。
コロナが来て、フリーランスとして AudioPilz を始める。「フリーでやりたかった。それも、最も広い意味での“音”に関わる何かで」。初期は週に100時間、それを何ヶ月も注ぎ込んだという。
最初の回は Alesis 3630、跳ねたのは microKORG
Bad Gear の第1回は90年代の Alesis 3630 コンプレッサー。「チャンネルの方向性が定まっていなかったので、あの回は長く作った」。番組の型を作るための試作だった。
跳ねたのは Korg microKORG の回。「電子音楽に巨大な影響を与えた象徴的な楽器」を批判すると伸びると気づいた。あの回が刺さったのは、みんなが薄々思っていた不満をちゃんと言ったから——「鍵盤は最悪、操作は限られている、プリセットは安っぽい」。
毎週これを作っている
毎週金曜に1本。そのために機材を調達し、3本のジャムを作り(うち2本はリアルタイム)、さらにミュージックビデオ付きの完成曲を1本作る。加えてミームと画面の作り込み。
それを毎週落とさずに出せる理由を、本人はこう説明している。「一番助かっているのは、毎回まったく同じ構造になっていることだ。この枠組みが舵になってくれるから、締め切りまでに仕上げられる」。
機材は役者である
これが一番面白かった。彼は機材を「役者のように」見ている。
「ある役者は特定のことが得意で、別のことは得意ではない。機材も特定の仕事のために作られている。その機材が最も得意なことをやらせてやれば、結果はついてくる。」
機材の揃え方についても同じ調子だ。「自分が隅々まで分かっている定番を持っておくのがいい。あとは味を見ながら足していく。料理と同じだ」。
今の業界には期待していない
本当の意味での革新については懐疑的で、業界は「過去にあったものを見直して焼き直す」傾向がある、と言っている。
一方で AI には強い関心がある。「AIが生む現代美術やコンテンツの大ファンだ。あの子供のような無邪気さに、自分は本当に影響を受ける」。
ただし手放しではない。「AIのような革新には深く魅了されている。たとえそれが、いずれ自分の作り手としての仕事を経済的に成り立たなくするとしても。」
Superbooth でやったこと
機材見本市 Superbooth で、各メーカーをネタにしたミームを額装して、当のメーカーに配って回った。記事はこれを「会場での、実に Borat 的な瞬間」と書いている。メーカー側は無視するか、笑って受け取るかのどちらかだったという。
本人が挙げた印象的な5本
Beat Kangz Beat Thang。機材の背後にある物語を重視する彼らしい選択。Wu-Tang Clan の RZA や Bob Ezrin といった大物が投資したヒップホップ用グルーヴボックスなのに、結局まったく成功しなかった。「その周辺の穴を掘っていくのが一番面白かった」。 Roland TB-3。タッチパッドで操作が限られプリセット頼みの303クローンに最初は懐疑的だったが、自分の作り方に驚くほど合った。2台目を買った。「そしてミームになった」。 Arturia DrumBrute。シーケンサーは素晴らしく、作業の流れも申し分ない。ただし音がひどい。「これを使ったプロの録音を挙げてみてくれ」と視聴者に投げたが、25万人が見て、まともな答えは返ってこなかった。 Teenage Engineering Choir。Bluetooth MIDI で動く木の人形。遅延が100ミリ秒超、接続も不安定。「2本目のジャムを入れなかった、最初期の Bad Gear の1つ」になった。 Ensoniq Fizmo。ラック版は500台ほどしか作られていない希少機で、6000ポンドほど。ウィーンの知人から借りて、夏の暑さで電源が飛ばないかと心配しながら扱った。出典
MusicRadar「The bad, the good and the ugly: How AudioPilz's meme-fuelled Bad Gear became YouTube's funniest music tech series」より。原文はこちら。

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