「DAWでいいじゃん」っていうやつは、全然違うんだよね。
まず、「DAWでいいじゃん」っていうのは、何をもってDAWでいいじゃんなのかというと、結果の話をしてるんですよ。結果の話。
結果としてそういう曲ができればいいんだったら、別にDAWでもいいじゃん、と。例えば機材から録った音をサンプルにして、それをDAW上で組み合わせて曲を作ったら、機材で作ったのと一緒じゃん。それはその通りなんですよ。
でも、それを言い始めたら、「じゃあDAWじゃなくてもAIでいいじゃん」になっちゃうわけ。DAWですら今は、結果をコントロールするという意味では、AIの方がよほど結果にコミットしてる。
そう考えると、機材なんてものは「結果を出す」というところからは、だいぶ遠ざかった存在なんですよ。
これは車に似てる
じゃあ、なんで機材がいいのか。これ、車に似てるんだよね。電気自動車とガソリン車の違いみたいなもの。
「もう電気でいいじゃん」「動けばいいじゃん」「目的地まで行ければいいじゃん」「自動運転だってあるんだから、それでいいじゃん」。それはその通り。そういう価値観もある。
じゃあ、なんで今でもわざわざガソリン車に乗るのか。なんで排気量のでかい車に乗るのか。機材をわざわざ買って揃えるっていうのは、それに近い。
機材に通電させる。その電気が機材の中を通って、回路を通って、最終的に音になって出てくる。
もちろんパソコンってめちゃくちゃ賢いから、計算能力も高いし、大抵のものはモデリングできちゃう。だから、「それでいいじゃん」っていうのはごもっともなんですよ。でも、それを言ったら、さっき言ったように、「じゃあAIでいいじゃん」まで行っちゃう。
完全にフェチの世界
俺が機材に感じてる面白さは、そこじゃない。限られたチップや基板の中に、開発者が入れた工夫だったり、設計思想だったり。アナログのD/Aなんかを通って出てくるサウンドの癖だったり。そういうものがあるんですよ。
これはもう完全にフェチの世界。フェティシズム。「ああ、やっぱりこのサウンドは実機から出した方がいいよね」っていう。
こういうことを言うと必ず、「じゃあお前、ABテストして分かるのかよ」っていう話になる。分かるかもしれないし、分からないかもしれない。でも、そんなことはどうでもいいんですよ。
アナログレコードと同じ
これってアナログレコードと同じなんだよね。「アナログレコードの方が音がいいとか言ってるやつはアホだ」とか、「そんなものはデジタルで全部再現できる」とか言う人もいる。でも、どうでもいいんですよ、そんなこと。
レコードを手に持ったときの感触だったり。バイナルをジャケットから出すときの感じだったり。ターンテーブルに置いて、針を落とすときの感じだったり。そういうもの全部を含めて、一つの体験として良さがあるわけじゃん。そこを愛でてる。それがフェティシズムなんですよ。
だから結果だけで言うんだったら、もう機材なんていらない。DAWすらいらないかもしれない。AIに「こういう曲作って」って言った方が早い。機材の良さっていうのは、その対極にあるんですよね。
もちろん俺はAIも好きだし、DTMも好きだし、本当はDAWも好き。でも、それでも機材がいいと思うのは、結局、どれにもない体験を経て音が出てくるから。そこなんですよ。

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